ドライフルーツメーカー

~本当にあった「バ買い物」~


バカな買い物。略して「バ買い物」

人はときに欲の化け物になり、どう考えてもいらないものを買ってしまう。

そしてそこには、ただただ場所をとるゴミが残るのだ。


「手作り感のある暮らし」

おしゃれさ漂う、そんなワードは危険だ。


オーガニックな店でおやつにドライフルーツを買うのはまだいい。

(そのあとでどうせおなかが減って、コンビニで買った菓子パンを貪り食うことになるのだけれど)

ドライフルーツってなんかおしゃれ!という一周まわった感覚から

人はとんでもないものを買ってしまう。


そう、ドライフルーツメーカーだ。

タテヨコ30センチ弱のプラスチックのドーム型の装置で

中にフルーツを入れ、タイマーをセットする。

ドームの中で熱風が吹き出し、徐々にフレッシュだったフルーツが乾いていく。

おおむねそんな仕組みだ。


買ったからには作りたい。

しかしフルーツを切るのはめんどくさい。


そこで、ももの缶詰とパイナップルの缶詰をドライすることに。


―3時間後。

…あれ?ぜんぜんみずみずしいんだけど。

ほぼ生のママである。


―さらに6時間後

まだ生っぽい。


一晩経ってもできないドライフルーツにイライラし、

おかしのまちおかでドライフルーツを買ってきて食べだす私。



―さらに3時間後。

…カッピカピやないかい!!!!!!

たった3時間のあいだに何があったんだ…。

しっとりドライなフルーツというより、ぺらっぺらでパッサパサの押し花である。

味も微妙。端のほうがなんか苦い。


…やっぱり缶詰はだめかもしれない。

とはいえフルーツは時間もかかるし難しいな。



ほしいもは?


押し花フルーツを握りしめた私に、神が下りてきた。

芋をスライスしてほした、例のあれである。

外は乾燥しているが中はもっちり、甘くて保存も聞いて持ち歩きもしやすい。


… こ れ だ !!!!


わざわざ楽天で糖度の高いブランド芋を買い

しっかり皮をむいてスライスし、ドームにセット。


いざ、スイッチオン!!


待つこと6時間。

出来上がったほしいもは、表面に蜜がしみだしていて

明らかに甘くておいしそうだ。


いただきまーす!


…硬っ。

明らかに硬い。そして、いもの繊維だけを食べているようなぼそぼそ感である。

そして全く甘みがない。表面に出てた蜜はどこいっちゃったの?


こうして、わたしのドライフルーツ自作は幕を閉じた。

その後、二度と作っていないことは書くまでもない。


衝動的な「バ買い物」のせいで、やけにでかい装置と

すごい金額の電気代請求書だけが、手元に残った。


人の悲しき欲が引き起こした失敗として、失敗美術館に寄贈。

失敗美術館

数々の失敗を展示する美術館です。 どうぞごゆっくりお楽しみください。

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